神奈川県藤沢市(MOSS VILLAGE)が産んだ、DINARY DELTA FORCEの1stアルバム『SOUNDTRACK TO THE BEDTOWN』(2010年発表)は、日本のブーンバップ・ヒップホップ史に燦然と輝く大名盤です。
当時、USのメインストリームがエレクトロやサウスのトラップへと移行していく中、彼らは頑なに「90年代のザラついたサンプリング・サウンド」と「圧倒的なストリートのリアリティ」を突き詰め、シーンに強烈なカウンターを喰らわせた。
漆黒のブーンバップ。DINARY DELTA FORCE『SOUNDTRACK TO THE BEDTOWN』が色褪せない理由
2010年代初頭、日本のヒップホップシーンは大きな分岐点にいました。
派手な電子音がフロアを席巻する中、突如として神奈川・藤沢の地下から現れ、シーンのトレンドを力技で引き戻した4人組がいます。それがDINARY DELTA FORCE(ダイナリ・デルタ・フォース)。 [1]
彼らの1stフルアルバム『SOUNDTRACK TO THE BEDTOWN』は、単なる「90’sヒップホップへの回帰」ではありません。地元・藤沢(通称:MOSS VILLAGE)の日常と、深夜のストリートの匂いを完璧にパッケージングした、文字通りの「ベッドタウンのサウンドトラック」なのです。
圧倒的な個性がぶつかり合う4MC
本作最大の聴きどころは、RHYME&B、祀SP、calimshot、DUSTY HUSKYという、声質もフローも完全に異なる4人のマイクリレー。
- DUSTY HUSKY:ハスキーボイスでスピットする圧倒的な存在感
- RHYME&B:抜群のリズム感とメロウなアプローチで耳を奪う
- 祀SP:真っ直ぐに言葉を突き刺す硬派なスタイル
- calimshot:変幻自在でトリッキー、スムースなフロウ
この4人が、プロデューサー・NAGMATICが仕掛ける「極上の煙たさを纏った極太のビート」の上で縦横無尽に暴れ回ります。
アルバムを彩る至高のキラーチューン
本作はスキットを含めて一切の捨て曲がありませんが、特にブログで紹介したい3曲を厳選しました。
1. 『REAL BLUES』
アルバムの方向性を決定づける、不穏で重厚なベースラインが特徴の1曲。
「何がリアルか」を安易に語る風潮に対し、泥臭くタフに生きる彼らの生き様(ブルース)がリリックから滲み出ています。
2. 『BEDTOWN ANTHEM』
文字通り、彼らのフッド(地元)を象徴するアンセム。
きらびやかな都会(東京)から少し離れた「ベッドタウン」だからこそ生まれる、独自のカルチャーとプロイドが、エモーショナルなサンプリングソースの上で爆発します。
3. 『NOWAY OUT』
息もつかせぬマイクリレーが堪能できる、スリリングな楽曲。 NAGOによるジャズやソウル、果ては和モノまでをディグり尽くしたかのような濃厚なトラックは、耳の肥えたB-BOYをも唸らせるクオリティです。
今こそ本物を聴くべき
『SOUNDTRACK TO THE BEDTOWN』が今なおヘビープレイされるのは、彼らが流行を追うのではなく、「自分たちが格好いいと信じるヒップホップ」を1ミリもブレずに形にしたからです。 [2]
デジタル配信で手軽に聴ける現代だからこそ、あえてアナログ2LP盤のノイズに塗れながら、部屋の電気を消してどっぷりと浸かってほしい——そんな漆黒の輝きを放ち続ける大名盤です。
次回も、名盤をディギン。
[2] https://qetic.jp


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