THE BROBUSが2006年にリリースしたメジャーデビューアルバム『MURDER BULLETS』は、東京のアンダーグラウンドの熱気をそのままパッケージングした日本語ラップの隠れた名盤です。のちの日本のヒップホップシーンを牽引するラッパー・B.D.(KILLA TURNER / TETRAD THE GANG OF FOUR)がキャリアの原点として在籍していたことでも知られてい。
東京の地下から放たれた衝撃。THE BROBUS『MURDER BULLETS』が今なお色褪せない理由
2000年代中盤の日本語ラップシーンを語る上で、絶対に忘れてはならないグループがいます。
池袋(IKB)と渋谷(SBY)を繋ぐストリートの代弁者として、圧倒的な存在感を放っていたTHE BROBUS(ザ・ブラバス)です。
今回は、彼らが2006年冬にワーナーミュージック・ジャパンから満を持して放ったメジャーデビューアルバム『MURDER BULLETS』を徹底レビューします。
のちのシーンに多大な影響を与える若き日のB.D.らの衝動が詰まった、リアルなストリート・ミュージックの神髄に迫ります。
1. THE BROBUSとは? 東京の地下を揺るがした5人組
THE BROBUSは、3MC+1DJ+1プロデューサーという構成のヒップホップグループです。
- B.D.(MC):独特のハスキーボイスと確かなスキルで異彩を放つ
- BAZOO(MC):タフでストリート感溢れるラップを聴かせる
- DWEET(MC):3人独自の掛け合いに深みをもたらす
- DJ FOOCH(DJ):ライブやスクラッチでグループを支える
- HASSY THE WANTED(Producer):グループの核となる極上のビートを量産
2004年に自主制作でリリースしたミニアルバム『GAME PLAN』が各メディアで大絶賛され、「BLAST」誌の年間アワードで日本人最高位の新人賞を受賞。ヘッズの間で「次にとんでもない奴らが来る」と噂されていた中でリリースされたのが、本作『MURDER BULLETS』でした。
2. 量産型ストリート系とは一線を画す「本物の漆黒ビート」
当時、シーンにはアメリカのトレンドをなぞっただけのラッパーやビートが溢れかえっていました。しかし、本作を一聴して耳に飛び込んでくるのは、トレンドとは一線を画す地を這うような重厚で力強いビートです。
プロデューサーのHASSY THE WANTEDが手掛けるトラックは、サンプリングのセンスが非常に高く、荒々しくもどこか哀愁とハイセンスな香りを漂わせています。
この漆黒のファット・ビートの上で、個性豊かな3人のMCが代わる代わる鋭いリリックを叩き込んでいくスタイルは、グループならではの利点をフルに活かしています。
3. アルバムを彩る「間違いない客演」と名曲たち
本作はアルバムとしての完成度が非常に高く、最初から最後まで飽きずに聴き通せる力作です。特に注目すべき楽曲を紹介します。
- 「UNCUT RAW (feat. DABO)」
当時シーンのトップを走っていたDABOを客演に迎えたキラーチューン。容赦のないマイクリレーと、ストリートの危険な緊張感が張り詰めた、文句なしに格好いい一曲です。 - 「IMAGINE」
3MCそれぞれの人間性やリリックの深さがじんわりと染みる名曲。ハードなだけではなく、ストリートに生きる彼らの内面や「リアルな視点」がエモーショナルに描かれており、今なおファンから傑作と称されています。 - その他、千葉の鬼才 MIKRIS など、当時のアンダーグラウンドのツボを突くシブすぎる客演陣がアルバムに強烈なアクセントを加えています。
4. 伝説のラッパー「B.D.」の原点がここにある
ヒップホップヘッズにとって、このアルバムを聴く最大の意義の一つが「B.D.の初期衝動を浴びる」という点でしょう。
THE BROBUSは本作を最後に活動を休止してしまいますが、B.D.は「B.D. the Brobus」名義でのソロ活動を経て、TETRAD THE GANG OF FOURへの加入やTHE SEXORCISTとしての活動など、東京のヒップホップの最重要人物へと登り詰めていきます。
B.D.自身も後にインタビューで「俺の根っこはTHE BROBUSにあります。あのグループがなかったらTETRADもSEXORCISTも無い」と語るほど、彼のキャリアにおいて重要なピースとなっています。
若き日の彼が放つ、ギラギラとした鋭いラップとカリスマ性の片鱗を、このアルバムでは生々しく体感することができます。
今だからこそ聴くべき、2000年代日本語ラップの隠れた遺産
THE BROBUSの『MURDER BULLETS』は、USの焼き増しではない「日本人にしかできない、日本人のためのストリート・ミュージック」を見事に証明した傑作です。
現在は残念ながら定額制ストリーミングサービス(サブスク)などでは配信されておらず、AmazonやディスクユニオンなどのCD・レコード市場で中古盤を探すしかありませんが、ディグる(探す)価値は十分にあります。
「最近のヒップホップは綺麗にまとまりすぎていて物足りない」
「泥臭くて本当に格好いいジャパニーズ・ヒップホップが聴きたい」
そんな方は、ぜひ中古CDショップの棚やオンラインストアをディグって、この「殺人弾丸(MURDER BULLETS)」を耳にブチ込んでみてください。ぶっ飛ぶこと間違いなし!
次回も、名盤をディギン。


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