
Guru(グールー/本名:Keith Edward Elam)の**出身地はアメリカ・マサチューセッツ州ボストンのロクスベリー(Roxbury, Boston)**です。
✔ **Roxbury(ロクスベリー)**はボストン市内でもアフリカ系アメリカ人コミュニティが強く、70〜80年代のブラック・カルチャーの影響が濃いエリアで、Guru の思想やスタイル(知的かつ社会性の強いリリック)にも影響を与えたと言われています。
■ 生年月日
1961年7月17日
■ 家庭・学歴
・父:上級判事
・母:図書館司書
→ インテリ家庭で育ち、のちの“知的リリシズム”に影響。
・Morehouse College(アトランタ)に進学
→ 一時中退
→ その後NYへ移住しラップ活動開始
1980年代前半:
Bostonで「MC Keithy E」として活動。
1986〜87年:
NYに移り、DJ Premier と出会う。
→ 二人の音楽性がハマり Gang Starr 結成。
1989年:
デビューアルバム『No More Mr. Nice Guy』発表。
→ ジャズサンプリングと社会性リリックで独自の地位を確立。
🎷 Jazzmatazz Vol.1(1993)誕生の理由
Gang Starr での“ジャズサンプル”路線をさらに一歩進め、
「サンプリングじゃない。本物のジャズマンとラップを創る」
というGuruの強烈なヴィジョンが形になった。
🎧 Jazzmatazz Vol.1 解説
- 1. Introduction
- 2. Loungin’(feat. Donald Byrd)
- 3. When You’re Near(feat. N’Dea Davenport)
- 4. Transit Ride
- 5. No Time to Play(feat. Ronny Jordan & D.C. Lee)
- 6. Down the Backstreets(feat. Lonnie Liston Smith)
- 7. Respectful Dedications
- 8. Take a Look (At Yourself)(feat. Roy Ayers)
- 9. Trust Me(feat. N’Dea Davenport)
- 10. Slicker Than Most
- 11. Le Bien, Le Mal(feat. MC Solaar)
- 12. Sights in the City(feat. Courtney Pine)
1. Introduction
Guru によるコンセプト説明。
「サンプリングに頼らず、ジャズミュージシャン本人と“対話”する」というプロジェクトの趣旨を明確化。
当時は本当に“史上初の試み”だったため、コンセプトを丁寧に提示。
2. Loungin’(feat. Donald Byrd)
- 参加:Donald Byrd(伝説的トランペット)
- テーマ:日常の中でのリラックス、都会での静かで知的な暮らし方
- 背景:
“ラップ=暴力・ハードコア” というイメージが強かった時代に、
Guru は「大人の余裕」「知的生活」を描き、NYのアート層にも刺さった。
象徴的な一曲。Vol.1 を代表する“クールな都会の空気”を体現。
3. When You’re Near(feat. N’Dea Davenport)
- テーマ:恋愛、距離感と安心感
- 背景:
アシッドジャズの中心人物 N’Dea Davenport を迎え、
R&B × Jazz × Rap を繋ぐ“新しいブラック・ミュージック”を表現。
4. Transit Ride
- テーマ:NYの地下鉄の混沌とした空気
- 背景:
90年代のNY Subway の「犯罪・雑踏・個性的な人々」を叙述的に描写。
Guru はボストン出身だが、NY生活を日常レポートのように語る。
サウンドはファンク寄りで、ストリートのバイブス強め。
5. No Time to Play(feat. Ronny Jordan & D.C. Lee)
- 参加:Ronny Jordan(ギタリスト)、D.C. Lee(Vo)
- テーマ:人生の選択、過去の関係に区切り
- 背景:
当時のUKアシッドジャズ・シーンの空気をNYに持ち込んだ曲で、
“国境を越えたジャズ×ヒップホップ” の象徴とも言える。
6. Down the Backstreets(feat. Lonnie Liston Smith)
- テーマ:ストリートの現実、孤独、暴力の影
- 背景:
Lonnie Liston Smith のスピリチュアルジャズが、
Guru の社会性リリックと完璧にハマる名曲。
抑制された語り口だが、内容はかなり重い。
7. Respectful Dedications
Guruがジャズマンに向けた“リスペクト”を述べる短い曲。
このアルバムの思想的中心部。
8. Take a Look (At Yourself)(feat. Roy Ayers)
- テーマ:自己反省・人生の選択
- 背景:
Roy Ayers との相性が抜群。
“自分を見つめろ”“今の行動が未来を作る”というGuru特有の教訓的リリック。
Gang Starrの「Manifest」「Moment of Truth」に通じるメッセージ性。
9. Trust Me(feat. N’Dea Davenport)
- テーマ:信頼、揺れる関係性
- 背景:
都会的で柔らかいR&B。
GuruのクールなMCスタイルと、N’Dea の歌声が美しく交差。
10. Slicker Than Most
- テーマ:自身のスキル、哲学、知的優位性
- 背景:
これは純ヒップホップ。
Guruが「俺は他とは違う」と静かに主張する曲。
11. Le Bien, Le Mal(feat. MC Solaar)
- テーマ:善と悪、社会構造、人種問題
- 背景:
フランス語ラップを世界に知らしめた歴史的コラボ。
NYの黒人文化とパリの移民コミュニティの価値観が交錯。
90年代NYでも“異文化ヒップホップの最初の成功例”として語られる。
12. Sights in the City(feat. Courtney Pine)
- テーマ:都市の現実、文化の衝突、孤独
- 背景:
長尺でジャズ色が濃く、アルバムを締めるにふさわしいドラマ性。
Courtney Pine のサックスが冷たく都会的。
🗽 Jazzmatazz Vol.1 90年代NYでの評価
■(1)ヒップホップ界の“革命的試み”として高評価
当時のNYでは、
「ラップがジャズミュージシャンと直接コラボするなんてありえない」
という空気があり、非常に斬新だった。
A Tribe Called Quest や Pete Rock が“ジャズのサンプリング”をしていた流れから、
Guru はそのさらに先を行った存在として尊敬された。
■(2)アート/インテリ層に支持
- NYのアートギャラリー
- ブルックリンのカフェ文化
- 大学生・若い黒人インテリ層
こういう層が強く支持。
「ヒップホップは高い芸術になり得る」
という認識を広げた作品とされる。
■(3)ストリート側からは“渋すぎる”とも言われた
90年代NYは
- Wu-Tang(93)
- Nas(94)
- Mobb Deep(95)
など、ハードコア路線が台頭した時代。
その中で、Jazzmatazz は
「大人の音楽」「夜のラウンジ」的で、ハード路線のB-Boyには地味に映った部分もある。
ただ、ラップ界でも“音楽性が高い作品”として尊重されている。
■(4)ヨーロッパでの評価が特に高かった
NYより先に UK とフランスでクラシック扱いされた。
アシッドジャズとの親和性が高く、クラブでもよくかかった。
NY→UK→世界
と逆輸入的に評価が広がった流れがある。
🔚 まとめ
Jazzmatazz Vol.1 は、
- ジャズ×ヒップホップの架け橋
- 世界初の“本物のジャズマン×MC”のフルアルバム
- 90年代NYで知的層の支持を得た
- そして後世のブラックミュージックを変えた
という、文化史的に重要なアルバム。
是非、聴いてほしい1枚です。


コメント