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90s hipho『BOOGIEMONSTERS』

Life is...

**Boogiemonsters – God Sound(1997)**は、
**「宗教的・スピリチュアルな世界観 × ドープかつヘッドノッドなビート」**を融合した、90年代後期アンダーグラウンドHIPHOPの隠れ名盤です。
1st『Riders of the Storm』よりもさらにコンセプト性が強く、タイトル通り「神・善悪・自己探求」が大テーマ。


🔥 アルバム全体の特徴

  1. ■ 1) “神”と“人間の弱さ”をテーマにしたスピリチュアル・ラップ
  2. ■ 2) 90sらしいサンプリング・ブームバップ × 荒涼とした空気
  3. ■ 3) メンバーのラップは叙述的で哲学的
  4. 1. Intro / MCs on a Mission
  5. 2. The Beginning of the End
  6. 3. Recognized Thresholds of Negative Stress
  7. 4. The Mark of the Beast II
  8. 5. Behold a Pale Horse
  9. 6. They Liquidate Bodies
  10. 7. Sodom & Gomorrah
  11. 8. God Sound (主題曲)
  12. 9. Champion of God’s Army
  13. 10. Warning From God
  14. 11. Whistles in the Wind
    1. ★ “スピ系・社会批判系・黙示録系” を90sブームバップでまとめた異色作
    2. ★ いま聴くとLo-fi/ダークジャズ系にも通じ、再評価が進んでいる
  15. ① メンバーの宗教観の深化 → 音楽活動とのズレ
  16. ② Major レーベル(EMI / Capitol)の方針転換
  17. ③ メンバー個々の人生方向の違い
  18. ④ 時代の変化:90年代後期のNYシーンの空気
  19. 🧩 ① 1990〜1993:意識高い系(Conscious)とジャズ路線の黄金期
  20. 🧩 ② 1993〜1995:ハードコア化(NY–Queensブーム)
  21. 🧩 ③ 1996〜1999:メインストリーム台頭と商業化
  22. ★ [1]ジャンル的には:Conscious / Spiritual Underground
  23. ★ [2]音楽的には:East Coast Boom-Bapだが方向性がユニーク
  24. ★ [3]マーケット的には:Majorに所属した「異質な存在」
    1. 当時の一般的な方向性:
    2. Boogiemonsters:
  25. ■ 1) West Coast:抽象/精神性/オルタナ系
    1. Freestyle Fellowship(LA)
    2. Aceyalone(LA)
    3. Abstract Rude(LA)
    4. Busdriver(LA)
  26. ■ 2) The Midwest:精神性×オルタナの宝庫
    1. Bone Thugs-N-Harmony(Cleveland)
    2. The Coup(Oakland)
    3. Atmosphere(Minnesota)
    4. Deep Puddle Dynamics(Sage Francis / Slug)
  27. ■ 3) The South:宗教・寓話・南部独特の“黒いスピリチュアル”
    1. Goodie Mob(Atlanta)
    2. CeeLo(初期ソロ)
    3. Geto Boys(Texas)
    4. Roots Manuva
    5. Skinnyman
    6. Lewis Parker
    7. Jehst
    8. IAM(マルセイユ)
    9. La Rumeur
    10. Shurik’n(IAMソロ)
    11. X-Men(パリ)
    12. Freundeskreis
    13. Torch
    14. Soul Scream
    15. 降神 (降神×志人 / 志人ソロ)
    16. THINK TANK / MSC初期
    17. Buddha Brand(初期)
    18. K-OS
    19. Buck 65

■ 1) “神”と“人間の弱さ”をテーマにしたスピリチュアル・ラップ

メンバー全員に宗教的バックグラウンドがあるため、
リリックは キリスト教的モチーフ・黙示録・自己鍛錬・信仰心と闇の葛藤 が中心。
「布教」というより ヒップホップを通した精神的問いかけ に近いです。

■ 2) 90sらしいサンプリング・ブームバップ × 荒涼とした空気

ビートはIsaac Hayes、Curtis Mayfield、ジャズ、サイケなど
ソウル深掘り系サンプルをダークにループ。
Fat Beats〜“実はEast Coastアンダーグラウンドの名作”として語り継がれてる理由。

■ 3) メンバーのラップは叙述的で哲学的

Flowsはスムースだが、中身はかなりハードで深い。
特に Bronx-bornのVexの宗教的言及・歴史ネタが濃い。


🎧 曲ごとの内容(ポイントだけ分かりやすく)

1. Intro / MCs on a Mission

アルバムの世界観導入。
「俺たちの使命は真理を語ること」という宣言。

2. The Beginning of the End

終末論(Apocalypse)テーマ。
世界の腐敗、人間の傲慢さ、霊的な再生について語る。

3. Recognized Thresholds of Negative Stress

メンタルの闇・誘惑・ストレスとの闘い。
“悪の境界線を踏むかどうか” が主題。

4. The Mark of the Beast II

アルバムの中心テーマ。
黙示録の “666 / Beast” を現代社会の物欲・権力に重ねる。

5. Behold a Pale Horse

陰謀・抑圧・世界の不正をラップ。
同名の陰謀論書(William Cooper)からタイトル引用。

6. They Liquidate Bodies

ストリートの暴力、犯罪、魂の喪失を描写。
“肉体だけでなく精神も殺されている” というメッセージ。

7. Sodom & Gomorrah

都市の堕落=聖書のソドムのメタファー。
NYの混乱と罪深さを重ねる。

8. God Sound (主題曲)

“神の声/神の波動” をテーマにしたコンセプト曲。
スピリチュアル・ラップの代表的トラックの1つ。

9. Champion of God’s Army

“信仰の戦士” 的自己像。
宗教をモチベーションとして自分を鍛えるストーリー。

10. Warning From God

悪に染まる前の警告。
祈り・内省・変化の必要性。

11. Whistles in the Wind

ゴスペル的で救済感のある曲。
旅の終わり、魂の帰還を思わせる締め方。


🧩 このアルバムが特別な理由

★ “スピ系・社会批判系・黙示録系” を90sブームバップでまとめた異色作

ほかに似た作品がほぼ無く、
Dead Prezの前兆 / Gravediggazのリアル寄り版 / Organized Konfusionの宗教色増し
のような位置。

★ いま聴くとLo-fi/ダークジャズ系にも通じ、再評価が進んでいる

重いけど世界観が統一されていて、通して聴いてもブレないアルバム


🔎 Boogiemonsters が解散した主な理由

① メンバーの宗教観の深化 → 音楽活動とのズレ

2nd『God Sound』前後で、
特に Vex(Vex Da Vortex) がキリスト教的な信仰を強めていき、
ヒップホップ業界のライフスタイルや価値観と距離を置くようになりました。

  • クラブ営業
  • プロモーションでの見せ方
  • レーベルが求めるサウンド
  • 商業的な“キャラづくり”

などが 自分たちの信仰と噛み合わなくなった と語られています。

当時のコメントでは、
「信仰と音楽ビジネスの間で葛藤があった」
という趣旨の発言が複数あります。


② Major レーベル(EMI / Capitol)の方針転換

デビュー時、EMI系のレーベルはグループを推していましたが、
90年代後半に入り アンダーグラウンド寄りのグループへの投資が弱くなる

  • セールス的には「熱いファンはいるけど広がらない」
  • コンセプトが宗教的でプロモーションしづらい
  • 当時はBad Boyやメインストリーム化の大波が来ていた

この流れの中で、レーベルの後押しが弱まり、
活動継続が難しくなったと言われています。


③ メンバー個々の人生方向の違い

解散後:

  • Vex Da Vortex → クリスチャン系プロジェクト The Day After などに参加しつつ、宗教活動中心へ
  • Mondo McCann → 教会活動・神学系の道へ
  • Yodared → 教育・コミュニティ方面に軸足
  • Myles(1st参加)→ 途中で脱退

つまり、全員が宗教・コミュニティ・教育方面に進んだ のが大きな理由。

ヒップホップ業界に残ったメンバーはいません。


④ 時代の変化:90年代後期のNYシーンの空気

1997〜1999はNYヒップホップが大きく変化。

  • Mobb Deep、Big Pun、DMX などハード志向が台頭
  • Bad Boy, JAY-Z がメインストリームを席巻
  • ダークでスピリチュアルなコンセプト作品の立ち位置が曖昧に
  • マーケット的にも宗教色 × アンダーグラウンドは厳しい

こうした流れと合わなかったのも事実。


🔚 総合すると

Boogiemonsters は、
「宗教観の深まり × メンバーの人生観の変化 × 音楽業界との相性の悪さ」
が重なり、自然解散したグループと言えます。

決裂やトラブルでの解散ではなく、
方向性の違いによる“フェードアウト型”の終わり方です。


🔥 90s NYヒップホップの変化(1990〜1999)と潮流のまとめ

🧩 ① 1990〜1993:意識高い系(Conscious)とジャズ路線の黄金期

この時代は、メッセージ性 × クリエイティブなビートが評価されていた。

  • A Tribe Called Quest
  • De La Soul
  • Gang Starr
  • Brand Nubian
  • Poor Righteous Teachers
  • Organized Konfusion
  • Digable Planets

そしてこの流れの延長線上に Boogiemonsters(1st期) が登場。

人種/社会問題/精神性/宗教性 を扱うグループが歓迎される土壌があった。


🧩 ② 1993〜1995:ハードコア化(NY–Queensブーム)

Wu-Tang Clan(1993)や Mobb Deep(1995)が登場すると、
NYの中心は一気に ダークでストリートな方向 へ。

  • Wu-Tang
  • Mobb Deep
  • Nas(Illmatic→It Was Written)
  • Biggie
  • ONYX
  • Smooth Da Hustla
  • Boot Camp Clik(Black Moon, Smif-N-Wessun, Heltah Skeltah)

ここでNYサウンドが完全に“ストリート・リアルネス主導”になる。

Boogiemonsters – Riders of the Storm (1994) は、ちょうどこの狭間。
まだ「Conscious & Alternative」寄りで、シーンの方向性とはズレ始める。


🧩 ③ 1996〜1999:メインストリーム台頭と商業化

Bad Boy、Ruff Ryders、JAY-Z がNYを席巻。

  • Biggie 〜 Puff Daddy (Bad Boy)
  • JAY-Z(商業的スタイルへ)
  • DMX(ハード志向だがスター性)
  • Cam’ron, Ma$e, The Lox → 徐々にメジャー指向

この時代のトレンドは
「分かりやすいフック」「クラブ映え」「豪華志向」

ここで スピリチュアル&アンダーグラウンドのBoogiemonstersは
完全にシーンの中心から外れる立場に。


🎧 Boogiemonstersの立ち位置:一言で言うと “時代から外れたオルタナ勢”

★ [1]ジャンル的には:Conscious / Spiritual Underground

彼らの世界観:

  • 神、黙示録、善悪、精神世界
  • 古代史、宗教引用
  • 個人の啓蒙

これは
Brand Nubian × Organized Konfusion × early Digable × Five Percenter哲学
でもあり、当時のNYでは“90-93的”と見られてしまった。


★ [2]音楽的には:East Coast Boom-Bapだが方向性がユニーク

ビートは90sらしいが、
ホラーでもギャングでもジャズでもなく、“スピリチュアル暗黒系”

この独特さがアンダーグラウンドでは人気だが、
主流とは距離があった。


★ [3]マーケット的には:Majorに所属した「異質な存在」

Capitol/EMI という大手レーベルにいながら、

  • コンセプトが難解
  • 神学・黙示録など扱いが重い
  • シングルヒットを狙う構造になっていない

という理由で、レーベルもプロモがしにくかった

当時、メジャーでこういう思想系グループはレア。


📉 90年代後半NYムーヴメントの流れと完全逆走していた

当時の一般的な方向性:

  • ブリンブリン化(豪華・お金・成功)
  • クラブ映え
  • ハードストリート
  • シンプルなフック
  • 重たい宗教コンセプトは避けたい

Boogiemonsters:

  • 黙示録、教義、霊的メッセージ
  • 重すぎるテーマ
  • 大衆向けでない
  • 実験的で静か

完全に“シーンの潮流の外側”。

ただし
アンダーグラウンド / BackPack勢 からは高く評価されている。


🎯 まとめ:BoogiemonstersはNYヒップホップの中でどんな存在?

■ 90年代前半の Conscious × Spiritual 系の流れを継ぐオルタナグループ
→ 1994〜95のシフトチェンジでシーンと方向性がズレ始める

■ 音楽性はBoom-Bapでも、思想面があまりに独特でメインストリームから孤立

■ そのため、アンダーグラウンド勢の中で cult classic 的な評価へ

シーンの中心にはいなかったが、
聴き返すほど深いアルバムを2枚残した稀有なグループ


🌍 NY以外の世界に存在する “Boogiemonsters 系譜” アーティスト


🇺🇸(NY以外のUS)

■ 1) West Coast:抽象/精神性/オルタナ系

Freestyle Fellowship(LA)

精神世界・スピードラップ・ジャズ感 → Boogiemonstersの“意識の深さ”と近い。

Aceyalone(LA)

  • “All Balls Don’t Bounce”
  • “A Book of Human Language”(哲学&黙示録系の金字塔)

Abstract Rude(LA)

スピ系ヴォーカルと深いリリック。

Busdriver(LA)

スピードと思想の抽象性。


■ 2) The Midwest:精神性×オルタナの宝庫

Bone Thugs-N-Harmony(Cleveland)

宗教・死生観が濃厚、スピリチュアル度が高い。

The Coup(Oakland)

政治/思想だが深さは同系統。

Atmosphere(Minnesota)

ダーク×内省の点でテーマの重さが近い。

Deep Puddle Dynamics(Sage Francis / Slug)

ポエトリー寄りだが精神性は強い。


■ 3) The South:宗教・寓話・南部独特の“黒いスピリチュアル”

Goodie Mob(Atlanta)

  • “Cell Therapy”
    → 黙示録的メッセージ+ブラックスピリチュアリティでBoogiemonstersと近い。

CeeLo(初期ソロ)

宗教性めちゃ強い。

Geto Boys(Texas)

ホラーと宗教・死生観の混合(スピリチュアルな深さでは意外に近い)。


🇬🇧 イギリス:スピリチュアルと暗黒の交差

Roots Manuva

自問自答・宗教・黒い空気感 → Brand New Second Handなど。

Skinnyman

UKストリートだが“精神の闇”という点でBoogiemonstersとマッチ。

Lewis Parker

映画的・スピリチュアル系プロダクション。

Jehst

思想性・比喩・内省の強さでUK最高峰。
BoogiemonstersがUKにいたらこのラインにいた可能性高い。


🇫🇷 フランス:黒くて思想的な“暗黒ブームバップ”が豊富

IAM(マルセイユ)

古代エジプト・宗教・思想を深く扱い、モチーフはBoogiemonstersとかなり近い。

La Rumeur

政治×精神性×ストリート。
空気感は非常にBoogiemonsters的。

Shurik’n(IAMソロ)

東洋思想・宗教・精神性。

X-Men(パリ)

抽象ラップ×ブームバップの中核。


🇩🇪 ドイツ:暗めで宗教的・抽象的テーマを扱うライン

Freundeskreis

宗教・哲学・世界観重視でかなり近い。

Torch

意識系ドイツ語ラップのオリジナル。


🇯🇵 日本:思想・精神世界を深掘りする線で似ている

Soul Scream

精神性・哲学性 → Boogiemonstersと一番共通点が多い日本勢。

降神 (降神×志人 / 志人ソロ)

抽象・寓話・精神世界 → 世界レベルでBoogiemonsters系統。

THINK TANK / MSC初期

暗黒ジャズ・思想系。

Buddha Brand(初期)

“黒い科学”的スピリチュアル要素。


🇨🇦 カナダ:スピリチュアル・ジャズ・ダークが融合

K-OS

宗教・精神性を全面に押し出したコンシャスMC。

Buck 65

ポエトリー+暗黒+寓話系。


🌐 全体まとめ:

Boogiemonsters に近いアーティストの共通点は次の3つ。

  1. 宗教・黙示録・精神世界をリリックに込める
  2. サウンドはブームバップ〜ジャズ〜暗黒ソウル
  3. 世界観が明確で、抽象・叙述的ラップが多い

この3条件を満たす世界のアーティストは決して多くなく、
上で挙げた人たちは“グローバルBoogiemonsters系譜”のトップ層。


是非、聴いてほしい1枚です。

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