
- Nature(ネイチャー)出身地・背景
- 『For All Seasons』概要
- アルバム全体の方向性
- 主なプロダクション特徴
- リリックのテーマ
- 代表曲の傾向(ざっくり)
- NYヒップホップ史での位置付け
- ① The Firm 結成前:QB内部の「次世代枠」
- ② The Firm 初期構想:本来は Cormega が正規メンバー
- ③ Cormega 脱退 → Nature 緊急加入(1997)
- ④ The Album(1997)時代:最も居心地の悪いポジション
- ⑤ The Firm 崩壊後(1998–1999):宙ぶらりん期
- ⑥ 『For All Seasons』(2000):独立した語り部へ
- ⑦ 後年の再評価:The Firm の「影の存在」
- まとめ(超重要)
Nature(ネイチャー)出身地・背景
- 本名:Jermain Baxter
- 出身地:ニューヨーク・クイーンズ/クイーンズブリッジ(QB)
- 所属クルー:The Firm(Nas / AZ / Foxy Brown / Cormega → Nature)
Nature はもともと Cormega の代役的ポジションで The Firm に加入。
90年代後半の QB では Nas以降の“リアルQB路線”を担う存在として期待されていたラッパー。
『For All Seasons』概要
- リリース:2000年
- レーベル:Columbia Records
- Nature唯一のメジャー・フルアルバム
タイトルの “For All Seasons(四季を通して)” は、
クイーンズブリッジの日常、成功と失墜、ストリートと業界の寒暖差
を四季になぞらえて描く、という意味合い。
アルバム全体の方向性
① クイーンズブリッジ直系のストリート叙情詩
Nature のラップは:
- 派手なテクニックより 語り口
- QB特有の
- 冷静
- 乾いた
- 観察者目線
Nas や Cormega の系譜にある
**「感情を抑えたリアリズム」**が中心。
② 90s後半〜2000年NYの「過渡期感」
このアルバムはまさに:
- 90sブームが終わり
- Jay-Z 的な洗練と
- DMX 的な荒々しさが共存していた時代
👉 Nature はどちらにも完全には振り切らず、
90s的ストリートラップを2000年に持ち込んだ存在。
主なプロダクション特徴
プロデューサー陣
- Trackmasters
- DJ Clue
- Dame Grease
- Havoc(Mobb Deep)
- Nas(エグゼクティブ関与)
👉 QB〜NY王道の布陣。
サウンドの特徴
- ドープでスモーキーなビート
- 派手すぎないクラブ対応曲
- ピアノ/ストリングス多用
- 低音は重いが、ミックスはやや2000s寄り
👉 「The Infamous」ほど生々しくはないが、
商業寄りになり切らない中間地点
リリックのテーマ
Nature が一貫して語るのは:
- 成り上がりの現実
- 仲間との距離
- クルー内の緊張
- 音楽業界への不信
- QBから見たNY全体
特徴的なのは:
- 自慢よりも警戒
- 成功よりも不安
- 勝者のラップではなく
“勝ちかけている男の視点”
代表曲の傾向(ざっくり)
- 「Ultimate High」
→ QBの空気を最も体現した1曲。冷たいビート+内省的リリック - 「Banned from TV」
→ Nature最大のヒット。
Noreaga / Cam’ron / Big Pun参加
👉 アルバム内では異色のストリート・アンセム - 「I’m Not Ashamed」
→ 自身の立場・批判への応答
NYヒップホップ史での位置付け
✔ 評価が割れた理由
- Nature自身のキャラが
「地味」「玄人向け」 - The Firm のブランドが
すでに下り坂 - 2000年は
Jay-Z / DMX / Ruff Ryders 全盛期
👉 時代とズレたが、内容はブレていない
✔ 今聴くと評価される点
- QBの最後の純正ストリート感
- Nas以降のリアルQB視点の記録
- 90s→2000sのNYの空気をそのまま封じ込めた作品
① The Firm 結成前:QB内部の「次世代枠」
クイーンズブリッジ内ヒエラルキー
- Nas:QBの象徴/絶対的存在
- Mobb Deep:ストリート側の実行部隊
- Cormega:Nas直系のリアリズム継承者
- Nature:
👉 Cormegaの少し後ろにいた“次世代候補”
この時点の Nature は:
- 派手さなし
- だが QB内部では評価が高い
- Nas の初期デモ段階で名前が挙がる存在
② The Firm 初期構想:本来は Cormega が正規メンバー
オリジナル構成(1996)
- Nas
- AZ
- Foxy Brown
- Cormega
👉 Nature は この時点ではメンバーではない。
③ Cormega 脱退 → Nature 緊急加入(1997)
Cormega 脱退の理由(超重要)
- Nas / Trackmasters 主導の
商業路線への拒否 - 自身のストリート哲学との不一致
- 契約・ロイヤリティ問題
👉 Cormega 脱退により
The Firm に“QB枠の穴”が空く
Nature 加入の意味
Nature は:
- QB出身
- Nas の信頼圏内
- 比較的「扱いやすい」
👉 “Cormega の代替”として急遽昇格
ただし:
- 物語性・カリスマ性では Cormega に及ばない
- 自身の色を出す余地はほぼ無し
④ The Album(1997)時代:最も居心地の悪いポジション
The Firm『The Album』での扱い
- 出番はあるが 中心ではない
- Nas / AZ / Foxy が前面
- Nature は 補助的QB代表
Natureの立ち位置:
- 主役ではない
- しかし“外様”でもない
- 「いて当然だが、語られない存在」
音楽性のズレ
- Nature:
- ロウ
- ストリート
- 抑制的
- The Firm:
- ラグジュアリー
- マフィア路線
- 商業志向
👉 根本的に相性が悪い
⑤ The Firm 崩壊後(1998–1999):宙ぶらりん期
グループ崩壊後
- Nas:方向転換(Nastradamus期)
- AZ:ソロ回帰
- Foxy:Def Jamへ
- Nature:
👉 居場所を失う
この時期の Nature は:
- Nas との関係は維持
- だがプッシュは弱まる
- ソロ準備に回される
⑥ 『For All Seasons』(2000):独立した語り部へ
ソロでの再定義
Nature はここで:
- The Firm 的な華やかさを捨て
- QBの現実を淡々と語る
- **“The Firm の一員”ではなく
“QBの記録係”**として立ち直る
👉 The Firm の色はほぼ排除。
⑦ 後年の再評価:The Firm の「影の存在」
現在の評価
Nature は:
- The Firm の中で
最も時代に合わなかった存在 - だが同時に
最もQBらしかった存在
Cormega が:
「拒否して去ったQB」
なら、
Nature は:
「残って飲み込まれたQB」
まとめ(超重要)
Nature の立ち位置変遷を一言で言うと:
“Cormega の不在を埋めるために呼ばれ、
The Firm の色に染まれず、
最後にQBへ戻った男”
『For All Seasons』は:
- クイーンズブリッジの
“静かな語り部”Nature の記録 - 派手さはないが
誠実で嘘のないNYストリート・アルバム - 90s NYが終わる瞬間の
空気感そのもの
是非、聴いてほしい1枚


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